妊娠初期の情報収集の意義
妊娠初期は、その後の妊娠・分娩を安全に管理するための重要なスタート地点です。この段階で、リスク評価のために妊婦の身体的・精神的・社会的情報を幅広く収集することが推奨されます。
基本となる情報収集のポイント
1. 問診票を用いた情報収集(B)
- 妊婦自身に問診票を記入してもらい、主体的に関わってもらう。
- 問診項目には以下を含める:
- 妊娠歴(流産・早産歴、不妊治療歴など)
- 精神的健康状態(うつ、DVリスク)
- 家族歴や生活背景(同居家族、支援者の有無)
- 感染症や既往歴(麻疹、風疹、水痘、性病など)
- 特に児童虐待の予防の観点から、「母子関係性障害」や「産後うつ」への早期対応が重視されている。
2. 基本的な身体計測と検査(B)
- 身長・体重・BMI計算
- 血圧測定:妊娠高血圧症候群の早期発見に有用。
- 尿蛋白・尿糖の定性検査:腎疾患・糖尿病のスクリーニングに有効。
3. 子宮頸部細胞診の実施判断(B)
- 受診歴や公費補助の有無に基づき、子宮頸がん検査の必要性を判断。
- 特に検査未実施の妊婦に対しては妊娠初期に行うべき。
社会的支援・育児環境への備えも重要
- 突然の入院に備え、子どもや要介護者をどう支援するかの体制確認も必要。
- 必要に応じて行政機関と連携し、支援へとつなげる配慮が求められる。
POINT
- 妊婦の健康は、身体だけでなく精神・社会環境の影響も大きい。
- 初期からの包括的なリスク評価と支援体制づくりが、母子の安全を守る鍵になる。
問題:妊娠初期に行うべき対応として最も適切なのはどれか?
A. 問診票に基づく精神的・社会的背景の確認
B. B群溶血性レンサ球菌(GBS)培養検査
C. 妊娠28週以降での50gブドウ糖負荷試験(GCT)
D. 胎児の心拍モニタリング(CTG)
E. 子宮底長の測定
正解:A. 問診票に基づく精神的・社会的背景の確認
解説:
- A:妊娠初期に妊婦のリスクを把握するために問診票の活用が非常に重要。
- B:GBS検査は**妊娠後期(35〜37週)**に行う。
- C:GCTは妊娠24〜28週が一般的。
- D:CTGは分娩に近い後期妊娠で実施。
- E:子宮底長測定は妊娠中期以降に行う。
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