はじめに
現代の食生活では、多くの人が少量ながら食品添加物を摂取しています。着色料、保存料、甘味料など、さまざまな添加物が加工食品に使用され、食品の見た目や味、保存性を向上させています。
巷では「添加物は健康に悪い」と言われることもありますが、日常生活で摂取する程度であれば、現在の科学的知見では大きな健康リスクは確認されていません。ここでは、食品添加物の基礎知識と日常的な安全性について整理します。
食品添加物とは何か?
食品添加物は、食品の品質や安全性、保存期間の延長、味や色の向上を目的として使用される化学物質です。
主な種類
- 着色料:食品の色を鮮やかにする。例:カラメル色素、タートラジン
- 保存料:腐敗を防ぐ。例:ソルビン酸、ベンゾ酸ナトリウム
- 甘味料:砂糖の代わりに使用される。例:アスパルテーム、ステビア
- 酸化防止剤:酸化による変色や劣化を防ぐ。例:ビタミンC(アスコルビン酸)
- 乳化剤・安定剤:食感や分離を防ぐ。例:レシチン、カラギーナン
これらは、厚生労働省や食品安全委員会などで安全性が確認された範囲で使用が認められています。
添加物と健康リスクの科学的評価
近年、人工添加物が健康に与える影響について多くの研究が行われています。
子供への影響
Warner氏(2024)のレビューでは、超加工食品(UPFs)に含まれる人工着色料や保存料などが、動物実験では神経毒性や発がん性の可能性を示すことがあると報告されています。ただし、日常生活で子供が摂取する程度では明確な健康被害は確認されていません。つまり、過剰な摂取は避けるべきですが、通常の食生活レベルであれば問題はないと考えられます。
大人への影響
一部の研究では、高濃度の非栄養系甘味料が心血管疾患や代謝異常のリスクに関与する可能性が指摘されています。しかし、これも極端に多量に摂取した場合の話であり、一般的な摂取量ではリスクは低いと考えられます。
日常生活での具体例
加工食品の例
- ソーセージ、ハム、ベーコン(保存料・発色剤)
- インスタントラーメン(調味料、酸化防止剤)
- 清涼飲料水(甘味料、着色料)
- スナック菓子(乳化剤、着色料)
添加物の目安摂取量
食品安全委員会やEFSA(欧州食品安全機関)が定める**ADI(許容一日摂取量)**があります。
- アスパルテーム:40 mg/kg体重/日
- ソルビン酸:25 mg/kg体重/日
- タートラジン(着色料):7.5 mg/kg体重/日
体重50kgの成人の場合、アスパルテームは約2,000 mg/日まで安全とされます。市販の清涼飲料水1本に含まれるアスパルテームは約100 mg程度ですので、日常的な飲用では安全域内です。
添加物を過剰に避けるリスクはある?
一部の人々は、添加物を避けるために極端な食事制限を行うことがあります。しかし、過度に制限すると次のような問題が生じる可能性があります。
- 栄養バランスが偏る
- 食生活が極端に単調になる
- 必要な食品の摂取が減り、アレルギーや栄養欠乏のリスクが増加
つまり、日常的に少量の添加物を含む食品を食べること自体は問題なく、過剰な制限は逆に不健康になる場合があることに注意が必要です。
日常生活での安全な実践ポイント
1. バランスを意識する
加工食品だけに偏らず、野菜・果物・魚・肉などをバランスよく摂ることが基本です。
2. 食品表示を確認する
添加物の種類や含有量を確認し、極端に多量の摂取を避けることができます。
3. 過剰摂取を避ける
同じ種類の加工食品を大量に連日摂取することは避けましょう。例えば、毎日大量の清涼飲料水やスナック菓子を食べ続けることは推奨されません。
4. 子供の食事にも配慮
子供は超加工食品を好む傾向があります。完全に排除する必要はありませんが、野菜や果物など自然食品を中心にすることが望ましいです。
まとめ
食品添加物は現代の食生活に広く使用されており、不安視されることもあります。しかし、現在の科学的知見では、日常生活レベルでの摂取は健康被害のリスクが低いだろうと考えられています。
過剰に避けることよりも、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。極端な制限や心配は必要なく、適度に添加物を含む食品を楽しむことが、健全な食生活につながります。
参考文献
- Warner J.O. Artificial food additives: hazardous to long-term health? Arch Dis Child. 2024 Oct 18;109(11):882-885. doi: 10.1136/archdischild-2023-326565. PMID: 38423749


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