【ベトナム・カンボジア旅行記②】盗難に遭った日本人大学生と非日常の国境越え体験

旅日記 / Travel Diaries

バス乗り場で出会った日本人大学生

プノンペン行きのバス乗り場に着くと、ひときわ印象的な日本人大学生がいた。初めてのバックパック旅行中で、到着直後にホーチミンの街でバックを盗まれ、しかもパスポートまで失ってしまったという。旅のスタートから波乱続きだったが、彼は盗難後1週間をホーチミンで過ごし、日本大使館で手続きをしたり、宿でパソコンを借りて家族に連絡し、必要なお金を送ってもらったりと、逞しくも冷静に対応していた。初めての一人旅でのこの行動力には感心せざるを得なかった。

私たちは意気投合し、同じバスでプノンペンへ向かうことにした。


メコン川を越える冒険体験

ベトナムとカンボジアを隔てるメコン川は、道路が整備されていないため、バスごと船に乗せて国境を越える珍しい体験ができる場所だ。水面に揺れるバスと、川沿いの村や風景を眺めながら、非日常感と冒険心が自然に湧き上がってくる。入国審査の待ち時間も、何も悪いことをしていないのに、なぜか心臓が少し高鳴る瞬間だった。


カンボジアの道路事情とバス旅のスリル

カンボジアに入ると、バスは延々と走り続ける。対向車が来ても平然と追い越すスピード感は、慣れないと冷や汗が出るほど。運転のスリルに慣れない私は、なるべく前方を見ないようにして、流れる景色と村人たちの生活を観察することに集中した。道路沿いで遊ぶ子どもたち、バイクで移動する家族、野菜や果物を売る屋台の光景など、日常の中にある文化の違いを肌で感じる時間だった。


プノンペンでのゲストハウス生活

無事プノンペンに到着すると、私たちはゲストハウスにチェックインした。ここで出会った旅人や現地の人々との交流は、バックパッカー旅の楽しみのひとつだ。言葉や文化の壁を少しずつ乗り越えながら、旅のルートやおすすめスポットを教え合う時間は、長旅の疲れを忘れさせてくれる。

ゲストハウスの朝食は、地元のパンやフルーツ、コーヒーが並ぶシンプルなものだったが、旅の疲れを癒すには十分なエネルギーだった。外の市場や街並みを散策しながら、これから訪れる歴史的な場所への期待を膨らませた。

キリング・フィールドでの衝撃体験

翌日、私たちは「キリング・フィールド」へ足を運んだ。ここは、ポル・ポト政権時代に行われた大量虐殺の跡地で、今も地面から遺骨が見つかることがある場所だ。広大な敷地には、かつての刑場や慰霊碑が静かに佇み、訪れる者に歴史の重みを肌で感じさせる。

かつてクメール・ルージュの秘密警察「サンテバル」によって、知識人、教師、宗教関係者などが反革命的と見なされ、次々と殺害されたという事実に、言葉を失う。犠牲者の大半は無実の庶民で、恐怖政治によって日常生活を奪われたのだ。展示されている写真や記録は、当時の惨状を今に伝える重要な証拠である。

訪問中、私はただ歩き回るだけでなく、ガイドの説明に耳を傾け、犠牲者一人ひとりの物語に思いを馳せた。ここでの体験は、旅行の楽しさだけでなく、人類史の暗い側面と向き合う貴重な学びとなった。


ポル・ポト政権とカンボジアの再生

ポル・ポトとは、1975年から1979年までカンボジアを支配した首相であり、約5年間で推定170万人の大量虐殺の責任者とされる人物だ。彼の政権下で、都市部の市民は強制的に農村部へ移住させられ、過酷な労働や飢餓、病気によって多くが命を落とした。

こうした歴史を理解することで、カンボジアが現在も抱える社会課題や復興の過程をより深く理解できる。私たちは歴史の教訓を直接感じながら、過去と現代が交差する街を歩くことで、旅行以上の学びを得たのだ。


ツゥール・スレン虐殺博物館での学び

同日の午前、私たちはツゥール・スレン虐殺博物館(S-21収容所跡)も訪問した。かつて中学校だった建物が収容所として使われ、鉄製の足枷や拷問の跡がそのまま残されている。展示室には犠牲者の顔写真や記録が並び、約1万4千名の人々がここで命を落としたことが伝えられていた。

ここを訪れることで、単なる観光ではなく、歴史の現実を直視する体験ができる。ガイドの解説を聞きながら、犠牲者の年齢や職業を知ることで、日常の中で奪われた命の重さを痛感する。


アンコールワットへの旅路

歴史の重さを感じたプノンペンを後に、私たちはシェムリアップ行きのバスを予約した。ここからアンコールワットへの道が開かれる。道路沿いの村々や市場を眺めながら、過去の歴史と現在の生活が交錯する光景に心を動かされる。

アンコールワットは、カンボジア旅行のハイライトであるだけでなく、宗教・建築・歴史が融合した壮大な遺跡だ。旅の最後に訪れることで、これまでの体験がより一層深みを増す。


まとめ:旅の体験と学び

このカンボジア・ベトナム旅では、バックパック旅の楽しさだけでなく、歴史の重みを感じ、現地の文化や人々と交流する貴重な体験ができた。盗難や長時間バス移動などトラブルもあったが、それも旅の一部として記憶に残る。

読者のみなさんも、単なる観光だけでなく、歴史や文化に触れることで、旅の価値をより深く味わうことができるだろう。

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