インド放浪記③:混沌のバラナシとチャイの誘惑

旅日記 / Travel Diaries

アグラからバラナシへ向かう鉄道では、三段ベッドの寝台車に乗車。エアコンなし、窓にはガラスもなく、インドの風が勢いよく吹き込む。停車駅ではチャイ売りの少年たちが「チャイチャイチャイ!」と声を張り上げる。熱々のチャイが10円ほどで味わえるのが嬉しかった。

着いたバラナシは「動物園」と例えられる街だった。牛、猿、犬、ヤギ…とにかく動物だらけ。特に牛は神聖な存在として扱われ、道路の真ん中で寝ていても誰も文句を言わない。

冷たいラッシーを求めて入った店が大当たり。その後、日本語を話せる現地人「ラビ」に出会い、彼の紹介でガンジス川が一望できる宿を確保。値段は1000円程度。宿では日本人女性二人組とも仲良くなり、旅の話に花が咲いた。

街を散策していたある日、現地のシルク店に入るとチャイを出された。チャイを断らずに飲んでしまったことを、宿に戻ってから大学の後輩に強く叱られる。「眠剤が入ってるかもしれないんだよ」と。本気の忠告に、善意と悪意が紙一重のこの国の現実を再認識した。

次回:「インド放浪記④:ガンガーの死と火と、怒れるラビ」へつづく

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