最近、妻と子どもの学資保険について話し合う機会がありました。月々1万円ほどを積み立てるタイプの保険で、10年後には解約返戻金があり、万が一のときは満額支払われるとのこと。
たしかに「安心」を買える仕組みではありますが、私は保険商品に対してやや懐疑的な立場を取っています。
今回は、保険とインデックス投資の違いや、それぞれのリスクとメリットについて、自分の考えを整理しながらお伝えしていきます。
■ 保険は「安心」を買うもの。でもその安心、本当に必要?
多くの保険商品は、万が一に備えるという名目で設計されています。
たとえば学資保険であれば、一定期間保険料を支払うことで、子どもの教育資金を確保しつつ、もし親に何かあった場合も資金が保障される仕組みです。
しかし、その中身をよく見てみると、満期まで支払った保険料の**105〜106%**程度が戻ってくるだけのものも多く、「それってお得なの?」と感じる方も少なくないでしょう。
■ 10年・15年後にお金が戻る=市場回復を前提とした仕組み?
私が思うに、こうした返戻期間(10〜15年)は、インデックス投資でも元本が回復するまでの期間とほぼ一致しています。つまり、学資保険の「満期まで支払えばほぼ元本が戻る」という前提は、実質的には市場が回復することを想定しているわけです。
ここで参考になるのが、チャールズ・エリス著『敗者のゲーム』の考え方です。この本では、株式市場における長期投資のリスクとリターンについて、過去数十年分のデータをもとに分析されています。その中でエリスは、「投資で最も重要なのは、大きく勝つことではなく、負けないこと、すなわちミスを減らすことだ」と強調しています。短期で大きく稼ごうとする戦略は魅力的に見えますが、リスクが高く、長期的には損失を被る可能性が大きいのです。
一方、長期的な市場平均に沿ったインデックス投資をコツコツ続けることで、手数料やタイミングのミスを最小限に抑え、着実に元本を回復させることが可能です。実際に、リーマンショックやコロナショックのような暴落を経験しても、長期保有を続けた投資家は数年で元本を回復し、さらに利益を積み上げています。エリスはこれを「敗者のゲーム」と呼び、競争相手が減点を重ねる中で、着実に正しい判断を続ける投資家が生き残る、と説明しています。
つまり、保険会社も同じように集めた保険料を運用して利益を生み出しているものの、その利益の一部しか契約者に還元していないという構図です。自分でインデックス投資を行う場合も、長期で「着実に負けない戦略」を取ることで、より自由にお金を育てることができる可能性があります。
■ 保険料を「安心料」として払う? それとも自分で運用する?
保険は「もしものときの保障」という点で心強い制度ですが、その“安心”が本当に自分たち家族に必要かどうか、改めて考えることが大切です。
多くの学資保険には解約返戻金制度が組み込まれており、契約から10年ほどの間に解約すると、支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこない仕組みになっています。これは、保険会社がその間に集めた保険料を運用して利益を生み出す前提があるためです。実際、保険会社もこのお金を元にインデックス投資などを行い、手数料を差し引いたうえで、10〜15年スパンで見れば元本割れのリスクは比較的低いことが分かっています。そのため、短期間での解約にはペナルティとして少ない返戻金が設定され、長期契約になるほど保険会社が利益を得る構造になっているのです。
この構造を踏まえると、私は必要最低限の掛け捨て死亡保険で保障だけを確保し、それ以上の資金は自分でインデックス投資に回す方が合理的だと考えます。掛け捨て保険は安価でリスクに備えられますし、長期インデックス投資であれば、保険会社の運用を上回る成果を目指すことも可能です。つまり、保険に全てを頼るよりも、自分でお金を運用する力を身につけることで、家族の安心を確保しつつ資産も効率的に育てられるわけです。
■ 「安心」は与えられるものではなく、自分で育てるもの
私は、保険という商品にある種の「宗教性」を感じることがあります。
親が加入していたから、自分も加入する。みんなが入っているから入る。
だけどその根拠は曖昧で、「なんとなく不安だから」という気持ちに支配されている場合も。
だからこそ私は、自分でお金を育て、必要なときに自分で判断できる力をつけたいと思っています。
「安心」は外から買うものではなく、内側から作るもの。そんな価値観を大切にしたいと考えています。
■ 最後に:初心者におすすめの一冊
もし、インデックス投資に少しでも興味があるなら、まず読んでみてほしい本があります。
『ジェイソン流 お金の増やし方』厚切りジェイソン著
この本は、実際にFIRE(経済的自立&早期リタイア)を達成した厚切りジェイソンさんが、自身の経験をもとに「お金を増やすためのシンプルな考え方」をまとめた一冊です。難しい専門用語や複雑な投資戦略ではなく、初心者でもすぐに実践できるポイントが多数紹介されています。
たとえば、日々の節約の工夫や、長期的な資産運用の重要性、リスクとリターンのバランスの考え方など、理論だけでなく実生活に役立つ具体例も豊富です。また、投資の心理面にも触れており、「なぜ人は市場の変動で不安になるのか」「どうすれば冷静に資産形成を続けられるか」といった点も分かりやすく解説されています。
初心者にとって最もありがたいのは、「複雑な戦略よりも、日々の行動の積み重ねが資産形成の鍵」というメッセージが、厚切りジェイソンさん自身の体験談とともに示されていることです。これを読むことで、保険や投資の選択に迷っている人も、具体的に何から始めればよいかイメージしやすくなるでしょう。
まとめ
- 保険は「安心」を提供するが、費用対効果をよく考える必要がある
- 返戻期間はインデックス投資の回復期間と重なる
- 死亡保障などは掛け捨てで最低限備え、それ以外は自分で運用した方が自由度が高い
- 「安心」は自分で作る力をつけることで、本当の意味での自由に近づける
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